カカオと日本酒
笠岡市の嘉美心酒造さんから日本酒に合うチョコレートのオファーを受けた。通常販売している日本酒ではなく、バレンタインデーの特別企画として蔵出しする10年熟成させた古酒(10年長期熟成酒「雄町純米吟醸」)に合うチョコレートの提案というものだった。
日本酒にどうカカオを合わせたら良いのか?そう思いながら試飲すると、日本酒とは思えない独特のフレーバー、しかしながら日本酒本来の甘みもある深い味わいに完全にイメージを失った。「個性には個性を」と試食を始めたが、結果的には日本酒のフレーバーや甘みを引き立たせるのは、チョコレートの甘みとほどよい苦味という結論に至った。
issaiのラインナップでは「コロンビア」がぴったりであったが、このお酒に合わせるにはフレーバーの余韻が足りなかった。そこでレギュラー商品の形態(ディスク形タブレット)をキューブ状に変更していつでも最適の分量でお酒とのマリアージュを楽しめるようにした。少し意外だったのが、「粗挽きホワイトキューブ」との相性。まったりしたミルクの甘みとカカオニブをかむことによって分泌される唾液とこのお酒独特風味の融合は、何とも形容し難い驚きのコラボレーションとなった。
パッケージングは、issaiの看板パッケージでもある試験管容器を使用し、黒白のかわいらしいコンビにでき上がった。「コロンビア」のキューブ状商品はこの企画のみの特別製造だったが、評判は上々で、再製造を希望する声も聞かれた。
チョコレートに合うお酒としては、ウィスキーやワインなど洋酒のイメージが強く、はたして日本酒に合うのか不安であったが、いままで日本酒とチョコレートを一緒に楽しもうとしたことがなかったので、イメージがつかめなかっただけで、実は相性がよいものもあるのだと気づいた。加えて、ワインがそうであるように渋みが少なく、甘いものが比較的相性がよいのではないかと想像している。とすると、嘉美心酒造さんの日本酒を買いに出かけなければならない。してやられた。